2026年03月12日
地鎮祭って必要?

検討を重ねてきた新築の注文住宅がいよいよ着工。その前に行うのが地鎮祭です。
費用や手配について、また必ず行わなければいけないの? 祟りがあったりしない? そもそも地鎮祭って何するの?
なかなか参加する機会のない地鎮祭のそんな疑問にお答えします。
地鎮祭とは
神社に詣でたり、その他の宗教的な行事に参加するのは初詣とクリスマスくらいという人も多いかと思います。
そういった場合には地鎮祭は謎につつまれたものでしょう。宗教はあまり信じていないつもりでも、祟りがあると聞けば気になってしまうかもしれません。
地鎮祭とは工事の安全を祈願し、新たに建つ家に住む人の繁栄を願う儀式です。
その土地を守護する神様に供え物をし、工事の伺いを立てることで工事が無事やり遂げられることを祈ります。
地鎮祭という言い方は神道式のものです。
仏教やキリスト教では地鎮式や安全祈願式、起工式と呼ばれたりします。
当社のお施主様から地鎮祭を行わないことで何か悪いことが起きないかとご質問をいただいたことがあります。
結論から申し上げますと、地鎮祭を行わないからと言って呪われたり、祟りがあったといった話は当社やその周りでも聞いたことがありません。
最近では地鎮祭を執り行わないという場合も増えています。あえて行わないという選択もおかしくはないでしょう。
神道式の地鎮祭

建築中の安全を願う儀式は世界各地で行われます。
日本で知られているもっとも古いものとしては、持統天皇が藤原京の建設にあたって「使者を遣して、新益京(あらましのみやこ)を鎮祭(しずめまつら)しむ」との言葉が日本書紀に残されています。
また2000年ほど前、弥生時代の池上曽根遺跡の中心部に建てられた大型の高床建物の棟持柱の柱跡からは勾玉が出土しており、その土地の平安や繁栄を願い、その土地の神をまつる気持ちはより古くからあったことが分かります。
丹陽社が手がける板倉造りもまた、そうした日本の伝統的な建築の知恵を受け継いだ構法です。
>> 伝統構法「板倉造り」についてはこちら
神道の地鎮祭は神職が行う儀式としては雑祭、つまり正式な作法というものが定まっていない儀式に分類されます。そのため神社や地方によって細かな差異がありますが、大まかには以下のように進みます。
建築現場の四方に笹を立て、しめ縄を張って祭場とします。
祭壇は南に向くように配置します。
1. 修祓(しゅばつ)
宮司さんが大幣(おおぬさ)を左・右・左と振り、参加者や祭場、お供え物を祓い清めます。これにより儀式を行う場が聖域となります。参加者はこの間、頭を下げてお祓いを受けましょう。
2. 降神の儀
清められた祭壇に神様をお招きします。宮司さんの掛け声のあと、神様がお越しになります。この瞬間から祭壇に神様が宿るとされますので、おごそかに慎みましょう。
3. 献饌(けんせん)の儀
宮司さんが神饌(お供え物)を供えます。
お供え物は米・塩・水・酒の基本となる4品に加えて魚や昆布などの海の幸、野菜や果物などの山の幸です。
あらかじめ神饌を並べておき、お神酒の蓋を取ることで献饌の儀とすることもあります。
4. 祝詞奏上
宮司さんが神様へ向けて祝詞(のりと)を読み上げます。この土地に建物を建てること、工事の安全、そして施主様のご繁栄を神様にご報告・ご祈願する場面です。祝詞の文言は施主様ごとに作成いただいたものです。頭を下げてお祈りの気持ちで静かにお聞きください。
5. 四方祓い
宮司さんが土地の四隅を順番にお祓いして回ります。塩・米・酒などを土地の四方に撒いて清め、工事を行う土地全体を聖域とする儀式です。トップ画像がまさにその場面です。今回は設計者がそばについて回りました。
6. 地鎮の儀
地鎮祭のメインイベントとも呼べる儀式です。
鎌・鍬・鋤を使って、盛られた砂山を土地に見立てます。
設計者が鎌で砂山に建てた草を刈り取る動きをします。
施主様が砂山に鍬を入れ、
宮司さんが鎮物を埋め、
棟梁が砂をかぶせます。
「えい、えい、えい」と恥ずかしがらずに大きな掛け声をかけて行いましょう。
7. 玉串拝礼
玉串とは榊の枝に紙垂(しで)をつけたものです。受け取った玉串を根元が祭壇側になるよう時計回りに回して置き、二礼二拍手一礼でお参りします。施主様、設計者、施工関係者の参加者全員で玉串をお納めします。
8. 撤饌の儀
宮司さんがお供え物を取り下げます。お神酒の瓶に蓋をすることで撤饌の儀とすることもあります。献饌の儀と対になる形で、神様へのお供えが終わったことを示す場面です。
9. 昇神の儀
降神の儀と同様に宮司さんが掛け声を発し、お招きした神様にお帰りいただきます。これをもって祭祀としての儀式が終了となります。参加者は頭を下げて神様をお見送りしましょう。
10. 直会(なおらい)
神様へお供えしたお神酒を参列者でいただきます。神様と共に食事をするという意味があり、儀式の締めくくりとなる大切な場面です。近年は車でお越しの方も多いため、口をつける程度で済ませることも多くなっています。
当日の持ち物・服装について
地鎮祭に厳密なドレスコードはありませんが、改まった場にふさわしい清潔感のある服装を心がけましょう。
施主様の場合、男性はスーツが無難です。ネクタイは必須ではありませんが着用するとより丁寧な印象になります。女性はスーツやワンピースなど、落ち着いた色味で露出の少ないものが適しています。地鎮祭は工事前の土の上で行いますので、ヒールよりもローヒールや歩きやすい靴を選んでおくと安心です。どうしても汚せない靴はお避け下さい。また、季節によっては防寒や日よけの準備も忘れずに。雨天時は長靴や替えの靴があると重宝します。
施工・設計関係者は清潔な作業着で参加させていただきます。
持ち物として施主様にご用意いただくのは初穂料(玉串料)が中心となります。白赤の蝶結びののし袋をお使いください。表書きの上段には「御初穂料」または「玉串料」、下段には施主様のお名前をご記入ください。お気持ちとして新札を入れられるとより丁寧です。
地鎮祭の手配と費用について

名目上はお施主様が主催となりますが、お施主様のご依頼で施工業者か設計事務所が手配を行うのが通常です。
もちろん神社に直接ご依頼いただくことも可能です。
当社でもご依頼いただければ神社の手配から日取りの設定まで行わせていただきます。
神式の地鎮祭の場合には、産土神である家を建てる地域の神社に依頼することになります。
仏教やキリスト教など他の宗教様式で執り行う場合や、特に依頼したい神社があるという場合にはご指定ください。
当社では仏教系、キリスト教系の安全祈願祭の経験もございますのでご安心してお任せいただけます。
初穂料の金額として5万円程度が目安となります。依頼する神社によって金額が異なるため、改めて確認することが必要です。
山海の幸や玉串といったお供え物は初穂料に含まれており、神社の方にご用意していただけることがほとんどです。
その他会場の設営で大きなテントのレンタルが必要な場合には、その費用が発生します。
また、当社では特に地鎮祭を執り行わない、お施主様のご要望がないという場合には簡易的な地鎮祭を行うことが多いです。もちろん宗教上の理由等あえて行わないというケースはその限りではありません。
略式の地鎮祭の場合には棟梁と当社所長が祝詞を奏上し、お酒をまくのみで済ませます。
この場合には追加で費用はいただきません。
地鎮祭を終えればいよいよ着工です。
>> 着工から完成までの流れについてはこちらをご覧ください。
家を建てる業者から見た地鎮祭

建築に関わる業者でもなければ一生に一度も経験しないことのある地鎮祭。家を建てることは私共にとっては日常でも、お客様にとっては大切な人生の節目となる。そのことを意識して臨まなければならないと改めて感じます。
地鎮祭はその建物に住む人の繁栄を願うものであるとともに、工事の安全を祈願するものでもあります。
どれだけ安全に気を付けていても、工事には危険が伴うものです。そういった中でしっかりとした手順を踏んで工事を進められているという確信が作り手にとっての安心感につながります。
職人さんが腕を心置きなく振るうためにも、なるべく地鎮祭の挙行にご理解をいただけましたらと思います。
参考文献:
「建築工事の祭式」編集委員会, 建築工事の祭式, 学芸出版社(2001)
山田 隆一, 集落遺跡からみた古墳時代前期社会の研究-近畿における広域流通の視点から-, 関西大学審査学位論文(2019)
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